美しい地中海、燦々と降り注ぐ太陽──。バカンスの地として、世界中の人々が「一度は行きたい」と焦がれる南仏・プロヴァンス地方。マルセイユは、パリ、リヨンに続く商業都市だ。港町であるこの地の主役は、ブロンズ色に日焼けした、すこぶる陽気な男たち。波止場では恰幅のいい漁師の声が飛ぶ。道端やカフェでおしゃべりに花を咲かせているのも、何を隠そう男性陣だ。
移民が多く、多様な“ お国訛り ”が入り交じり、フランス人ですら会話のキャッチボールに困難を極める。しかしながら彼らの豪快な笑顔見たさに、つい話しかけてしまう。 さて、旧港には毎朝獲れたての魚介を売りさばく魚市が立つ。旬の魚を安く提供するだけでなく、目分量ならではのおまけあり、値切りありのパフォーマンスも相まって、買い出しの主婦や観光客でごった返す。 さらに昼を過ぎれば、店仕舞いに合わせて今度はカモメがやってくる。恩恵にあずかろうと、青い大空を優雅に舞う姿は、実に軽やかだ。 そんなマルセイユの名物料理といえば、世界三大スープの一つともされる「ブイヤベース」である。
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