HOME | 世界の朝食TOP  | 世界の朝食【セルビア共和国】

ヤマザキ 世界の朝食
一日の元気は、朝食をしっかり食べることから始まります。世界各地のバラエティ豊かな朝食 また、幸せの香り漂うパン料理などを紹介していきます。
月刊dancyu[ダンチュウ]
月刊dancyu[ダンチュウ]2013年4月号
編集タイアップ企画より
今月の1皿
セルビア共和国受け継がれていく。
黄色に輝くスープ麺
セルビアで、老若男女に愛される「ドマーチレザンチ入りチキンスープ」。ドマーチレザンチはデュラムセモリナ(硬質小麦の粗挽き)粉、卵、塩のみでつくる生パスタで、下ゆではせず、火にかけたスープにちぎりながら入れて煮込んでいく。イタリアのようにソースで和えたりはしない。もちろん、食べるときに音を立ててすするのはマナー違反。セルビアでは、前菜として食べられている。
 バルカン半島の内陸、セルビアは旅する前後で大きく印象の変わる国だ。幾重にも塗り重ねた絵の具を思わせる青空と綿々と続く緑の農地、パステルカラーの愛らしい家屋が並ぶ村々。ドナウ川が流れる恵み豊かな大地は、民話から抜け出したような牧歌的な美しさを湛えている。
 もちろん、その背後には多くの民族が織りなした複雑な歴史がある。それが窺えるのは、風景よりむしろ食。ギリシャ、トルコ、ハンガリー……。さまざまな国の影響を受けたセルビア料理は食の坩堝(るつぼ)。それらが土地の産物とパズルのように組み合わさり、独特の食文化を育んでいる。
 そんなセルビアに面白い小麦料理がある。見た目は、まんまスープ麺。といっても麺はすいとんに似た食感で、濃厚な鶏のブイヨンがたっぷりしみ込み、口の中を旨味であふれんばかりにする。「ドマーチレザンチ入りチキンスープ」だ。
 ドマーチレザンチは、セルビアのチキンスープに欠かせないパスタ。黄金にも似た輝きはデュラムセモリナ粉と健康な鶏卵の黄身の色で、必ず放し飼いの鶏の卵を使う。未だに自給自足が珍しくないセルビアでは、新鮮な素材を使うのはごく普通。オーガニックも当然で、こんなところからもセルビア独自の味わいは生まれるのだろう。
 加えてドマーチレザンチもチキンスープも母や祖母、あるいは近所の料理名人から下の世代へ今でも直接受け継がれる〝生きた〟伝統料理。その味には、心に刻みつけられる何とも言えない温かさがある。
 レシピだけではない。食べ物を大切にするのも、この国では手から手へと伝わる習慣だ。なかでもパンは特別で、もし床に落としたらキスして食べる。堅くなったパンの調理法も豊富である。
 朝の人気は「セルビア風フレンチトースト」。セルビアのそれは、塩のみ加えた卵液に浸して焼くシンプルなもの。素朴だけれど、この国で食べると何ともおいしい。新鮮な卵と小麦の香りに、遠い昔から食卓を包んだ朝の幸せが浮かび上がる。おいしいものにあふれたセルビアで、不思議と記憶に残る一皿だ。
朝のテーブルから
セルビアの朝食例。塩味の「セルビア風フレンチトースト」に、数種の野菜をマヨネーズで和えたロシアンサラダ、生ハム、ゆで卵、ピクルスが添えてある。飲み物は濃厚なトルココーヒーにヨーグルト、さらに寒さが厳しいセルビアでは朝から蒸留酒のラキアを飲むのも一般的。 セルビア風フレンチトースト
ヤマザキ
朝食から始まる幸せ。
その他の国もご覧ください ヤマザキ世界の朝食 index