よく語り、笑う。そしてとにかくよく食べる。台湾人のあふれるパワーの源は、この食欲に違いない。「みんな食べることが大好き。一日4、5食……いや、ずっと食べてます(笑)」と、ある台湾女性。外食文化が発達した台湾には、安くて旨い食堂や屋台が林立。彼らの美食欲を満たしている。
なかでも常に行列必須の人気店といえば、「胡椒餅(フージャオピン)」の屋台。胡椒をふんだんに混ぜた豚挽き肉とねぎの餡を、小麦粉の生地で包み焼いた台湾名物だ。湯気とともにおいしそうな香気がふわり。薦められるまま熱々を割って食べると、これが旨い! 餡は肉汁があふれんばかりで、ひりひり残る胡椒の刺激も堪らない。外はカリッ、中はフワッの皮も絶品。自然と顔もほころぶ味わいである。由来は中国福建省の焼き饅頭。台湾に入り、独自に進化したという。
そもそも現在の台湾料理は、16世紀にやって来た福建移民の食が土台。同じく大陸から渡って来た客家(ハッカ)や現地の人々の料理と結びつき、さらに日本や欧米の文化も混じって独自のワールドが形成された。その多彩さは、今やアジア有数と言われている。
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