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ヤマザキ 世界の朝食
一日の元気は、朝食をしっかり食べることから始まります。世界各地のバラエティ豊かな朝食 また、幸せの香り漂うパン料理などを紹介していきます。
月刊dancyu[ダンチュウ]
月刊dancyu[ダンチュウ]2016年4月号
編集タイアップ企画より

 フランスの粋が詰め込まれたような土地である。中世の古城や古都、それらを縫うように流れるロワール川。しかし、ここで暮らす人々にはもっと愛する風景がある。家の周囲に広がる小麦畑。春には青々とした麦の葉が地平線まで埋め尽くし、夏には金色の穂に交じる赤いコクリコの花、やがて見渡す限りのヒマワリの列が目を楽しませる。ワイン、チーズ、蜂蜜などが特産。美食の宝庫としても知られるロワール地方は、国内有数の穀倉地帯でもある。
 そんな恵み豊かな地の食卓は、意外なほど簡素だ。パンにチーズとハムがあればいい、フルコースを楽しむのはたまの外食やパーティーぐらいという人がほとんど。
 その代わり、パンへの愛はフランス中でも人後に落ちない。食卓には何はなくとも必ずパン。早朝にパンを買いに行くのが毎日の習慣で、これは一家の主たる父親の役目。幸福な食卓は、かぐわしい小麦の香りから生まれると固く信じているのだ。
 たとえ残って硬くなったパンでも無駄にせず、母親の手でパングラタンやパンキッシュなどのご馳走に変身する。なかでも定番が「パンポトフ」。言ってしまえばパン入りポトフで単純な料理だが、それでも各家庭で少しずつレシピが違う。
「これはいけるわよ」とある主婦に薦められたのが、よく焼いたパンを器に取り、スープでふやかしながら食べる方法。カリカリの食感が、肉や野菜の旨味を吸って少しずつ変化する。最後は驚くほどふくよかな味に。それが何ともおいしくて、ついついお代わりしてしまう。フランス人の食を楽しむ心は、実はこんな素朴な美味で育まれているのでは、と思える一皿だ。
 さて、朝の美しさも格別なこの地域。霧に煙る街や川辺を散策すれば時折、パンを買って帰る地元民に出会える。夢のような周囲の景色を気にとめてもいないのか──。掌中のパンを大事に抱え、一途に家族の元へと帰る姿は、しかし誰もが幸せそうだ。

ヤマザキ
朝食から始まる幸せ。
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