アフリカ大陸最北端に位置するチュニジア。面積は日本の約半分と小国ながら、砂漠や草原、山岳地帯……とアフリカの大地を象徴する自然景観が詰め込まれている。首都チュニスは、ヨーロッパ世界とアラブ世界が交錯するエキゾチシズム漂う近代都市。スタイリッシュな新市街は“プチ・パリ”と呼ばれ、一方の旧市街はスーク(市場)が広がり、イスラム文化が残る街並みの中、人々の活気あふれる日常を垣間見ることができる。
地中海交易の要衝として発展してきたこの地の食は、実にユニークだ。南イタリアに近いこともあってか、オリーブやトマトを使った彩り鮮やかな料理をはじめ、魚介や肉料理が豊富。思わず「ここはアフリカ?」と首をかしげる人も多いとか。しかし、ひと口食べればスパイスが織り成す独特の風味に、チュニジアの風を感じずにはいられない。
秘密は“ハリサ”と呼ばれるペースト状のミックススパイス。唐辛子をベースにつくるハリサは、どんな料理にも必ず添えられる、いわばチュニジア料理の“味の担い手”。それは主食のパン「タブーナ」を食べるときにも欠かせない。そのマイルドなピリ辛味が、素朴なタブーナのおいしさをぐっと引き立てるのだ。
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