ホームパーティーの主役! プエルトリコ流ローストポーク「ペルニウ・アル・オルノ」(手前)。皮や骨付きの塊肉を丸ごと焼く豪快な一皿だ。奥は、ペルニウ・アル・オルノの肉を細かく裂き、チーズと合わせて小麦粉の皮で包んで揚げた「ポーク・エンパナーダ」。
月刊dancyu[ダンチュウ]
2019年 8月号
編集タイアップ企画より
アメリカ合衆国
プエルトリコ自治連邦区
美しい港の
豪快! 豚肉&パン料理
地上のパラダイス──。ある出身者は、自分の故郷をこう語る。一説には、コロンブスが“なんて美しい港なんだ!”と叫んだ一言が、名前の由来とされるプエルトリコ。世界有数のビーチに手つかずの森林が広がる大自然、スペイン統治時代と近代の建築物が交錯する街並みなど、今も訪れる人を魅きつけてやまない島である。
とはいえ、住民には景観より愛するものがある。人の絆を大切に、陽気に生きる日々の暮らし。一度会えば誰もが友達。そうなれば「食事においでよ」と誘い合う。大勢で囲む食卓が、みんな大好きなのだ。
人が集えば、欠かせないのが豚肉料理。豪勢な豚の丸焼きをはじめとして名物料理は数多いが、なかでも人気はローストポーク「ペルニウ・アル・オルノ」。肩や腿の塊肉を皮や骨ごと焼く一皿だ。香草やスパイスを木鉢ですり潰す漬け汁づくりに始まり、一晩マリネした肉を、さらに時間をかけて焼き上げる。手間もたっぷり。だが、もっと簡単に済ませば?と聞いても、答えはノー。心を込めた美味こそ温かい時間を生むと、ここでは誰もが信じている。
もう一つ、食卓の定番が「エンパナーダ」。小麦粉の皮で具を包み揚げた、中南米ではおなじみのスナックである。こちらは屋台料理としても人気で、豚肉、チーズ、トマトソースにグアバ……。多彩な具で楽しまれている。屋台と言えば近年はサンドイッチの店が増え、バラエティーはますます豊かになった。これらを片手に常に音楽が流れる街角で、人々が談笑したり、踊ったりする光景も楽園を彩る一コマだ。
さて、そんなプエルトリコで多くの人が幸福を感じると言うのが朝。街も海もひときわ輝きを放つ時間帯。一日の期待を胸に、家族で賑やかに朝食をとる。食卓を埋めるパンやスープに、時に窓から吹き込む砂がかかることがあっても気にする者はいない。これもこの島の暮らし。誰もがそう感じ、喜びで満たされているからだ。