AIBフードセーフティ指導・監査システム

「AIBフードセーフティ指導・監査システム」とは

 AIBフードセーフティ指導・監査システムは、安全な食品を製造するためにとらなければならない行為のガイドラインであるGMP(適正製造規範)を重視した食品安全管理システムです。このシステムは、60年以上の活動実績があり、諸外国では認知度が高く、食品工場のみならず、流通倉庫や包装資材製造施設を含む原材料供給業者などの幅広い業種で活用されています。
 このシステムは、世界の様々な法規を基にAIBが独自に作成した「AIB国際検査統合基準」に則って指導・監査が進められます。「AIB国際検査統合基準」は、原材料の入庫から製品の出荷までの全ての工程において、安全性を確保するための重要な事項を列挙したもので、5つのカテゴリーで構成されています。

監査員により、生産設備の隅々まで厳しくチェックされます

監査員により、生産設備の隅々まで厳しくチェックされます

(AIB(American Institute of Baking):米国製パン研究所)


「AIB国際検査統合基準」を構成する5つのカテゴリー

  • 1作業方法と従業員規範

    原材料の受入、移動、保管、輸送、加工や最終製品を配送する工程において、従業員、生産工程や環境が食品安全上の問題を引き起こさないことに、施設は自信を持つ必要があります。製品が従業員や生産工程によって汚染されることを防ぐための方法を示しています。

  • 2食品安全のためのメンテナンス

    食品安全のための環境を提供し維持管理するうえで、設備や建築物の設計、構造およびメンテナンスは、とても重要です。施設や設備が、衛生上および食品安全上の危害を招かず、それらを容易に管理できるようにするための最適な設計や保全方法を示しています。

  • 3清掃活動

    製品を食品安全上の危害から守るために、清掃や洗浄殺菌方法、使用する化学薬剤の種類、清掃活動の頻度、および微生物管理を専門的な知識を用いて実施する必要があります。製品の汚染を回避するための清掃に関するガイドラインを示しています。

  • 4総合的有害生物管理(IPM)

    施設から害虫などの有害生物を排除することは重要ですが、食品製造環境内で有害生物が繁殖する機会をなくすことの方がさらに重要です。ここでは、有害生物による食品の汚染を避けるための多様なアプローチを管理する方策を示しています。

  • 5前提条件と食品安全衛生プログラムの妥当性

    「前提条件と食品安全衛生プログラム」を確立することは重要です。しかし、もし設計、計画、管理、文書、および見直しに関して正式なプログラムが確立されていなければ、前提条件プログラムは、その日の担当者の一存に委ねる結果となってしまいます。前提条件プログラムを施設全体に一貫して実施していることを確実にするための基準を示しています。

「AIB国際検査統合基準」に基づく食品衛生管理

  • 小麦粉中の異物等の除去、モニタリング

    小麦粉を保管しておく粉サイロから製造ラインへ送るための送粉ラインに「インラインシフター(ふるい)」を設置し、小麦粉中の異物等の除去とモニタリングを行なっています。

    インラインシフターの設置

    インラインシフターの設置

  • 原料受入時の確認

    原料の受入時には包装材の破損等の確認、要冷蔵・冷凍原料の温度管理状況の確認などを行っています。

    液卵受入時の温度測定

    液卵受入時の温度測定

  • アレルゲン原料の管理

    アレルゲンを含む原料は特定の保管場所を設け、アレルゲン原料の区分け保管や器具類の専用化など、アレルゲンの混入防止のため、管理を徹底して行っています。

    アレルゲン原料の区分け保管

    アレルゲン原料の区分け保管

  • 生産ライン入室時の異物混入防止

    生産ラインに入室する際は、私物の持ち込み禁止はもちろんのこと毛髪の落下を防止するヘアネット、帽子、白衣を着用し、手洗い、アルコール消毒、粘着ローラー掛け、エアシャワーを行います。

    生産ライン入室前のエアシャワー室

    生産ライン入室前のエアシャワー室

  • より確かな清掃と作業ルールの徹底

    すべての施設、設備、機械の清掃方法、頻度を科学的な根拠に基づいて定めた「清掃計画表(マスタークリーニングスケジュール)」と「清掃手順書」を作成し、より確かな清掃と作業ルールの徹底を図っています。

    「マスタークリーニングスケジュール」に基づく清掃

    「マスタークリーニングスケジュール」に基づく清掃

  • 設備・機械の改善

    機械内部に溜まった粉や生地の点検・清掃を容易にするために、機械カバーをシースルータイプのものに交換し、内部の状態の「見える化」をすすめています。

    機械カバーをシースルータイプに交換

    機械カバーをシースルータイプに交換

  • 金属検出機の設備

    すべての生産ラインで、金属検出機を設置し、出荷する製品に金属の混入がないことを確認しています。

    金属検出機によるチェック

    金属検出機によるチェック

  • 配送車両による温度管理

    工場内はもちろんのこと、配送車両も製品の保管条件に合わせた温度管理が可能な車両の導入をすすめ、配送中の庫内温度を運行管理システムにより計測・記録しています。

    トラック庫内の温度管理

    トラック庫内の温度管理