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パンの歴史館

6日本国民の主食となったパン

パン食の普及により実現した日本型食生活

 戦後間もない1946年には、小学校でコッペパンと牛乳の学校給食がはじまりました。給食でパン食の習慣を身につけた子どもたちが、大人になってもパンを好んで食べるようになり、次第に日本の食卓にパンがなじんでいったのです。

 1955年ごろからは、全国に大きなパン工場が次々と建設され、パンの生産量はいっきに伸び、戦前の最大年間生産量の6倍以上にもなりました。さらに、1964年の東京オリンピックをきっかけとして日本人の食生活の洋風化が進む中、ヨーロッパ生まれのフランスパンやデニッシュペストリーなども登場しました。

1980年代に入ると冷凍パン生地技術の発達によりオーブンフレッシュベーカリーが増加するとともに、1990年代以降は、情報化社会の到来とともにライフスタイルの多様化が進む中でコンビニエンスストアが急増し、人々は種類豊富なパンをいつでも手軽に買い求めることができるようになりました。その後、全国各地のご当地パンが注目を集めたり、食パンやコッペパンの専門店が人気を博すなどパンブームが到来しました。

戦後のパン食の普及は、パンと相性が良い牛乳やチーズなどの酪農食品、野菜、豚肉、牛肉などの食品の普及、促進に深く関わりました。その結果、多様な栄養素をバランスよく摂取できる理想的な「日本型食生活」が実現したとされています。総務省が行なっている家計調査では、2011年にパンの購入額が初めてお米を上回りました。近年では、製パン技術の進歩により、国産小麦を使った高品質なパンや全粒粉を使用したヘルシー志向のおいしいパンが次々と商品化されています。さらに、海外に目を向けると、東南アジアを中心に、日本スタイルのパンが食文化の壁を越えて受け入れられ、人々の食生活の向上に貢献しています。

江川太郎左衛門がはじめてパンを焼いてから約180年あまり。いまでは日本国民の主食としてすっかり定着したパンは、私たち日本人に豊かな食生活をもたらしています。