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パンの歴史館

7国民食となったパン

進む食生活の洋風化

1980年以降、日本のパン食文化はますます広がりをみせました。この頃から、製パンおよび食品業界の欧米やアジア諸国への海外進出が盛んになりました。海外企業と日本の製パン企業各社の間で、技術提携や業務提携が結ばれるケースも増え、海外から新しい知恵や技術が入ってきました。

海外から入ってきた新しい知恵や技術は冷凍パン生地の品質を大きく向上させました。よりおいしい焼き立てパンが提供できるようになった冷凍パン生地の市場は大きく拡大しました。1980年代中頃では、冷凍パン生地の使用量は約1万7千トンでしたが、1990年代前半には3万7トンまで伸びました。焼き立てパンを提供するベーカリーの数も増え、おいしいフレッシュなパンが身近なところで楽しめるようになりました。

1990年頃になると、多くの女性が仕事を持つようになり、家庭での食事を簡単にすませる傾向が増え、中食需要が高まりました。その時、急速に街中に広がりだしたのが、コンビニエンスストアでした。1970年代にはじめて登場したコンビニエンスストアは、中食需要にマッチしてその数を大きく伸ばし、1980年前半では約8000店だった店舗数は2000年までに3万店を越え、現在では6万店に迫る勢いです。コンビニエンスストアでは、子供から大人までたくさんの人がいつでも手軽に色々な種類のパンを買えることから、パンの普及に一役かいました。

いま日本では毎年およそ120万トンの小麦粉を使ってパンがつくられ、食べられています。近年では米粉を使ったパンや健康を意識した低糖質パンなど豊富な種類のパンが売場に並びようになり、パン食の楽しみがいっそう豊かになりました。江川太郎左衛門がはじめてパンを焼いてから約180年あまり。すっかりパンは私たち日本人の食生活になくてはならない食べものとなっています。

パンの小話

日本のパンは国民の主食

(注)総務省家計調査の2人以上世帯、農林漁家世帯除くベース

 総務省が行なった家計調査の結果によると、平成22年にパン類の購入金額はお米と肩を並べるまでになりました。その翌年には初めてパン類がお米の購入金額を上回り、近年ではその差は大きなものとなりました。また、阪神大震災、東日本大震災では火を通さずに食べられる衛生的な食品として大変喜ばれました。平常時、緊急時を問わず、パン類は今や国民の主食として定着し、国民にとって必要不可欠な食品となっています。