パリからTGVで走ること約2時間。ヨーロッパ屈指の大自然の宝庫、ローヌ・アルプ地方の首府リヨンにたどり着く。ローヌ川とソーヌ川、2つの大河を中心に絹織物の町として発展を遂げた2000年以上の歴史をもつフランス第2の都市である。
そんなリヨンは〝美食の都〟としてあまりにも有名だ。「ポール・ボキューズ」「アラン・シャペル」等々、高級な星付きレストランが点在し、世界中から食べ歩きに訪れるグルマンが後を絶たない。もちろん何げなく佇むビストロやカフェ、場末のブラッスリーに至るまで、他都市と比べても料理の質は驚くほど高い。
本格的なフレンチや伝統料理を堪能したら、次は一歩踏み込んで〝ブション〟と呼ばれる昔ながらの酒場を覗いてほしい。ここはいわゆる地元人が集まる憩いの場。手軽な料金で家庭的な郷土料理やワインに舌鼓を打てるだけでなく、人々の暮らしぶりや風習も垣間見ることができる。
さて、時は2月。バレンタインデーのプレゼント選びに勤しむ老若男女のホットな心とは対照的に、街中は凍てつく寒さである。コチコチに冷えきった体を温める術は数あれど、〝これを食べれば体の芯から一気に温まる〟と誰もが口を揃えて太鼓判を押す一品がある。それが熱々、濃厚な「オニオングラタンスープ」だ。
|