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世界各地のバラエティ豊かな朝食
また、幸せの香り漂うパン料理などを紹介していきます。

楽園感あふれるハワイの「エッグベネディクト」。イングリッシュマフィンに地場産トマトとほうれん草、スモークサーモン、ポーチドエッグをのせ、オランデーズソースをかける。サーモンに替えてロブスターや伝統料理のカルアポークを使うなど、バリエーションも多彩。

月刊dancyu[ダンチュウ]
2020年 5月号
編集タイアップ企画より

アメリカ合衆国
ハワイ州 オアフ島

海と風、光り輝く島の
ブレックファースト!

 愛称は“集いの島”。常に観光客で賑わうハワイの玄関口・オアフ島。自然も遊びも豊かなこの島で、近年旅の目的の一つともなっているのが朝食だ。今やアイランド系朝食の発信地。海沿いや街中のカフェは、彩りも鮮やかでフォトジェニックな朝食を競うように提供。世界から憧れを集めているのは周知の通りだ。

 パンケーキにフレンチトースト、アサイボウル……。どれも発祥は別の土地だが、ここで楽園風に進化し、ハワイの朝食へと生まれ変わった。そんな代表的な一品が、「エッグベネディクト」。ルーツはアメリカ本土とされるが、島のそれはひと味違う。ハワイの輝く太陽をそのまま皿に移したような、自然のパワーにあふれている。

 その原動力が、たっぷり使われた地場産野菜。眩しいほどの光を浴びたトマトやほうれん草の濃厚な味わいに、卵とオランデーズソースのコク、パンの風味が響き合う。ボリューム満点なのに意外に軽く、瑞々しさに心も体も癒される。それは、まるでこの島そのもののようなおいしさだ。

 背景にあるのは、現在のハワイに広く浸透した“Farm to Table(農場から食卓へ)”という価値観。楽園の豊かな恵みを最大限に生かそうとするシェフが増え、それに呼応するように農家も努力を重ねてきた。ぐっと幸福度が増したハワイの食卓。そして、その幸せを一介の旅人でも享受できるのがオアフという場所。懐深いロコたちは、島を愛して集う人なら誰とでも宝物を分かち合うのだ。

 さて、朝は島が最も輝く時間。陽光とともに、心地よい潮風と澄んだ空気が辺りを包む。住民もこの時を愛するようで、みな早起き。もっとも平日はカフェでゆっくりする時間はなく、家で、またはベーカリーのテイクアウトで朝食を済ませ、寛ぐ観光客を尻目に仕事へ出かけていく。だが、その表情は満ち足りたもの。少し悔しいけれど、楽園はやはり彼らのものなのだ。