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世界各地のバラエティ豊かな朝食
また、幸せの香り漂うパン料理などを紹介していきます。

フレッシュないちじくに、いちじくをバルサミコ酢と蜂蜜、生クリームでさっと煮たソースを合わせ、バニラアイスを添えた「いちじくのクレープ」。いちじくの繊細な風味と深いコク、冷たさと温かさが、それ自体でおいしいクレープとマリアージュを奏でる。秋の美味。

月刊dancyu[ダンチュウ]
2020年 10月号
編集タイアップ企画より

フランス共和国

フルーツを愉しむ。
優雅なクレープ&パン!

 美食の国の住民たちは、フルーツ愛にあふれている。大きな籠や皿にフルーツをこんもりと盛り、瑞々しい色や香りを愛でながら、朝昼晩と味わうのがフランスの食卓。季節が移れば、旬のフルーツを求めて真っ先にマルシェへ向かう。暮らしの中心に食がある、この国らしい愉しみ方だ。

 そのまま食べるのはもちろん、ひと手間かけたデザートや料理にするのも一般的。特に皆大好きなのが、クレープとの組み合わせだ。街中のクレープリー(クレープ専門店)では、卵やハムを具としたガレット(食事系クレープ)を食べた後、ゆっくりとフルーツのクレープを味わうのが、店を訪れる喜びの一つにもなっているという。

 本場のクレープの特徴は、まず生地自体がしっかりおいしいこと。十分にねかせた生地は小麦やバターの香りが豊かでしっとり、もちもち!そこに優雅な表情を添えるのがフルーツ。秋へと向かう今の時季なら「いちじくのクレープ」も定番の一つ。

 世界最古の栽培果実とも言われるいちじくの爽やかな甘味、繊細で魅惑的な風味をまとったクレープに食後の余韻は膨らみ、心地いい会話がいつまでも続く。幸福な人生は幸福な食卓に宿る──何よりも食事を大切にするフランスのエスプリを羨ましく思うのは、こんなひとときだ。

 さて、フランスの主食と言えばパン。この国でパンと聞くと、誰しも思い浮かべるのはバゲットなのだそう。一日三食、これがないと始まらない基本の基本。引っ越し先でも、まずおいしいバゲットを売る店を探すのがフランス人なのだとか。

 一日の始まりもバゲットから。毎朝パンを買いに行く人が多いこの国。街中には、歩きながらバゲットを頬張る姿もちらほら。聞くと、焼きたての香ばしい香りに我慢できず、家に着くまでに一本食べてしまうこともあるのだとか。まだ陽も上り切らないブルーグレーの風景の中、素晴らしき人生がこうして今日も幕を開ける。