レッツ・バービー！　なんともわくわくする響きじゃないか。“バービー”はバーベキュー（ＢＢＱ）の愛称。オーストラリアの人々は月に数回、いや週に何度も誘い合っては楽しんでいる。家族や友人との日常的な食事をはじめ、イベントやレジャー、ママ友ランチ、記念日にも大人気。バービーなくしてオージーライフは語れない。

　公園には無料で使えるＢＢＱグリルも多く設置され、思いついたら気軽に楽しめるのもオージーバービーならでは。家に人を招くときは仕込みにこだわりもするが、急なバービーなら間に合わせのステーキ肉や野菜をとにかく焼くだけ。味つけも塩、胡椒程度と大らかだ。でも、こんなシンプルな焼肉が実においしい。旨味がしっかり閉じ込められた肉は、それ自体で深い味わい。世界有数の牛肉産地の国民はその扱いを心得ていて、何はなくとも上手に焼けば美味にありつけることを知っている。

　そんなバービーに不可欠なのがパン。やはりグリルで軽く焼き、焼いた肉を挟んだだけの「ステーキサンドイッチ」がみんな大好物なのだ。店で出すような洒落たものでなくても、野趣あふれる焼肉と香ばしいパンの組み合わせは、自然の中で食べる喜びをさらに膨らませてくれる。

　さて、バービーの真骨頂は食事だけにあらず。大人にはコミュニケーションの場であるし、子供たちは人と知り合い仲良くなる術、楽しむ力、そして大事な肉の焼き方を身につけていく。「バービーで人生を学ぶということ？」と聞くと「人生を楽しみ、愛することを学ぶのさ」と現地の人。

　幼少時の朝食は、そんな彼らのもう一つの原点だ。大好きなジャムパンや果物を思いっきり頬張る。たとえ顔や服が汚れても、食べる楽しみを覚えつつある子供を叱る親はいない。大人になってもずっと記憶に残る、自由で幸せそのものの朝。オージーたちが信条とする“LOVE OF LIFE（ラブ・オブ・ライフ）”はここから芽吹き、育まれていく。